【元大学職員の経験談 Part.3】:大学職員として働き始める最初のステップ(実践編)

2025年11月27日木曜日

元大学職員経験談 国立大学 私立大学

Part.1(私立)とPart.2(国立)で職場環境をご紹介しました。いよいよ今回は、「実際にどう動くか」という実践編です。

私立・国立を問わず、私が実際にやってみて「後々楽になる!」と感じた、新しい職場での最初のステップを、肩の力を抜いてご紹介していきます。

⚠️ 「普通、教えてくれるよね」は期待せず、自ら確認することが大事◎

新しい職場では、「普通、教えてくれるよね」という意識は一度脇に置き、自ら確認する姿勢が大事です。特に、以下の項目は働き始めに必ずチェックしましょう。

まず初めに確認すること


💰 雇用条件と手続き

面接時や採用初日に、有給休暇や残業の有無や手続きについて詳細な説明がされないことがあります。

私の非常勤事務員時代の経験では、勤務開始から半年後に有給休暇が付与されました。それまでの期間は欠勤扱いとなり、給与が支給されないため収入減になりました。また、有給休暇を使い切った後は欠勤扱いとなります。申請方法は紙での提出やシステム入力など、部署によって異なる場合もあります。

もちろん必要になったときに確認すれば良いのですが、ご家庭の事情や定期的な通院などで休暇を取得したり、定時で帰る必要がある方は、早い段階で確認しておくことをおすすめします。ちなみに私は、自分の病気を受け入れてくれるところで働きたいという思いから、面接時に定期的な通院で休暇を取得しても問題ないかを確認していました。

📞 電話の使い方

まずは、電話の使い方を確認しましょう。電話に出る際は「〇〇(部署名)です」と言うことが多いですが、部署ごとに独特の文化やルールがある場合があるので、先輩職員に聞くのが確実です。

また、他の職員の内線番号へ転送する方法や、外線のかけ方についても合わせて確認しておきましょう。


職場に慣れるための情報収集術


採用後、まず初めに行うのは、大学で発行された自分のメールアドレスの設定や、情報リテラシーに関するオンライン講習の受講など、仕事を始めるための準備が中心です。この最初のステップについては、通常、雇用と同時に説明資料が渡されます。

職員が忙しく、すぐに具体的な仕事の指示が出せない場合は、前任者のファイルを確認したり、大学パンフレットや職員専用ホームページを確認するなど、情報収集を指示されることが一般的です。

目的がない情報収集タイムは面白くない上に、時間が長く感じられます。そんな時間が少しでも有意義で楽しくなるように、「やっておくと後が楽になる情報収集のポイント」をご紹介します!

💡 ポイント (1) 組織名と略称を把握する

学部や専攻、事務組織の名称は略語(略称)を使用することが多いです。円滑に業務を理解し、職場の会話についていくためには、まず大学全体の組織構造(組織図)を知ることが極めて重要です。(組織が大きい場合は、まずはご自身の関係する部署のみに絞って把握するだけでも大丈夫です。)

略語と正式名称が一致しない
という状況は頻繁に起こります。

  • 略語はわかるが正式名称がわからない。

  • 正式名称はわかるが略語がわからない。

そのため、正式名称と略称の両方をセットで覚えておくと良いでしょう。

例えば、「宇宙航空研究開発機構」と言われるとピンとこないけど、略称の「JAXA(ジャクサ)」は知っている!というようなことが、大学の組織名だけでなく、研究または教育プロジェクト名でも起こるのです。

💡 ポイント (2) キャンパスマップで場所を把握する

大学のキャンパスマップは一般公開されていることが多く、勤務開始前に大学の公式サイトで確認される方もいらっしゃると思います。


最低限、建物の位置を把握していないと、「書類を持って行って」と頼まれた時も迷子になってしまいます。(私は困ったら聞けるように携帯電話を持っていき、迷子になったときはマップで位置情報を見ていました。)また、キャンパス内を移動している際に学生や来訪者から道を聞かれる機会もゼロではありません。念のため、私は印刷したマップをポケットに入れて持ち歩いていました。

大学の公式WEBサイト(または職員専用サイト)で教室の配置図があるかどうかも確認しておきましょう。配置図には、収容人数や設備の情報が記載されていることもあり、イベント等の開催場所の候補を探す際にも重宝します。


💡 ポイント (3) 自分の業務に関連する情報を検索する

大学のホームページは情報量が多すぎて、どこに何の情報があるのか見つけるだけでも一苦労です。

面接時や勤務初日に、担当する業務について簡単な説明があると思いますので、自分の業務に関連する情報がどこに格納されているか、目星をつけて確認しましょう。前任者が説明資料を印刷してファイリングしていることもありますが、ルールが変わっている可能性もあるため、必ず最新の情報を確認するようにしてください

例: 部署の物品購入手続きを担当する場合は、規程や会計システムの入力マニュアルなどの資料を探します。規程とは別に、「〇〇円までが消耗品」といった基準がわかる説明資料や注意事項をまとめた資料がWEBサイトに掲載されていることがあります。

 

💡 ポイント (4) 窓口・電話応対から業務担当者を覚える

困ることの一つが電話応対です。相手は業務を理解している前提で話してくるため、何を言っているかわからず焦ってしまうこともあるでしょう。

最初のうちは周りの人が代わりに対応してくれます。もし内容が分からなかったら、「〇〇の件ですが、どなたが担当ですか?」と先輩に確認し、担当職員にバトンタッチしましょう。何を言っているかさっぱりのときは、「内容が理解できなくて…申し訳ありませんが電話の対応をお願いしてよいでしょうか」と伝え、近くの職員に助けを求めましょう。窓口対応も同様です。このバトンタッチを繰り返すことで、自然と担当者を覚えていけます。

業務担当者リストを自ら確認するのも有効です。職員専用サイトに全学の事務局の業務担当者一覧が掲載されている大学もあります。また、電話や窓口対応でわからない専門用語があった場合は、勤務を始めたばかりの頃のほうが聞きやすいため、タイミングを見て先輩方に確認しましょう。

💡 ポイント (5) 自分専用の備忘録(マニュアル)を作成する

重要なポイントは、自分専用の備忘録やマニュアルとしてまとめていきましょう。

マニュアルを作成することがゴールというよりも、頭の中で情報を整理するきっかけをつくることが大切です。自分の言葉で情報を整理することで、記憶に残りやすくなります。また、うっかり忘れてしまったときも、すぐに確認できるため安心です。



「最初のステップ」が終わるころには、情報収集力もUPしていると思います!
この情報が、皆様の新しいスタートを少しでも楽にする手助けになれば幸いです。

Part.4以降は、大学の非常勤職員(パート)の求人情報を見る際のポイントや、私が実際に担当した業務ごとの注意点(業務別)をまとめていく予定です。